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方向線・標高断面

方向線の記録・作成、標高断面の作成、表示を行います。このメニューは方向ボタンの長押しでも呼び出すことができます。

1.現在の方向線を記録

 現在地点で端末が向いている方向を示す方向線を記録します。ファイルはoutputフォルダに保存されます。保存した方向線は、アプリ内ではポイント、トラック等と同様に扱われ、出力データメニューでsaveフォルダへの保存、saveフォルダからの読み込み、削除、一覧表示が行えます。

2.方向線作成

 基点と方向をマーカーまたは数値で指定して任意の方向線を作成します。

3.標高断面作成

 方向線、トラック、表示中の入力データ(ラインデータのみ)、スケッチ、作成地物(ラインデータのみ)の標高断面を作成します。作成対象の線について等間隔(10m等)に点をとり、標高データを地理院標高タイルから取得します。そのためネットワーク接続が必要です。

 作成された標高断面はoutputフォルダに保存されます。保存した方向線は、アプリ内ではポイント、トラック等と同様に扱われ、出力データメニューでsaveフォルダへの保存、saveフォルダからの読み込み、削除、一覧表示が行えます。

 地図画面上では標高を取得した点が等間隔に並ぶ点線状に表示され、標高の推移がそれに沿って線上に表示されます。また、次のメニュー項目の標高断面表示で標高断面図として表示することができます。

 設定画面の「標高断面作成時にジオイド高を取得する」にチェックを入れると、標高断面作成時に標高のほかジオイド高を取得することができます。ただし、ジオイド高はデフォルトではネットワークから取得しますが、サーバーへの負荷を避けるため5秒の一回のアクセスに制限していますので、断面の長さによっては非常に時間がかかります。標高断面図で地球の丸みを考慮した作図を行う際はジオイド高を含めた作図の方が原理的には正しいですが、多くの場合大きな違いは生じませんので必要に応じてご検討下さい。なお、バージョン11.2から国土地位院のジオイド・モデルのデータファイルを本アプリのキャッシュフォルダに入れて、ネットワーク接続によらず直接データファイルからジオイド高を読み出すことができるようになりました。ネットワークから取得しないためジオイド高の取得が非常に高速化されるほか、国土地理院のサーバーへの負荷も減らせるため、標高断面作成でジオイド高も含めたい場合は、ジオイド・モデルデータファイルの導入を推奨します。導入方法については、本HPの別の項目で解説します。

4.標高断面図表示

 作成した標高断面を図示します。画面が表示されたら、ファイル選択ボタンをクリックして表示する標高断面ファイルを選択します。

 標高断面ファイルには複数の標高断面を含むことができますが。ファイルを開いた際は断面1が表示されます。断面1の所をクリックすると表示する断面を選択することが出来ます。

 横軸設定は、のべ距離、地球中心角、大気屈折込の3種があります。

 のべ距離設定は、横軸がのべ距離、縦軸が標高の一般的な作図です。

 地球中心角設定は、地球の表面での実際の配置を模した作図です。地球の中心の真上に基点を置き、記録点と基点の地球中心からみた場合の角度だけ傾いた線上で標高をとります。このため、基点から離れるにしたがって傾きが大きくなり、同じ標高でも図上の低い位置に作図されます。

 下図が作図のイメージです。赤線が地球の地表面、でこぼこした地表面を滑らかな球体にならした状態を想定したものが青線の楕円体です。地球は自転の遠心力のため赤道方向に広がり上下から少し押しつぶしたような球になっているため真球ではなく楕円体にみなします。標高0mの位置をジオイド面といいますが、これも滑らかではなくでこぼこしています。これは地球の内部の重さが場所によって違い、そのため地球に引き寄せられる重力も場所によって異なるためです。海であれば地下に重い物質があり重力が強い場所は周囲の海水を引き寄せて盛り上がり、全体としてみて海面はでこぼこになります。海面の高さがその場所の標高0mなので、ジオイド面もでこぼこしているのです。日本の場合は東京湾の平均海水面の高さが標高0mなので、東京湾の海面と重力が重量が同じ高さがジオイド面になります。このジオイド面の楕円体からの高さをジオイド高といいます。

 地表の標高は標高0mジオイド面からの高さなので、地球中心から地表までの長さは(地球の半径+ジオイド高+標高)になります。標高断面の基点を地球中心の真上に置いて作図した場合、基点から地球中心角θ離れた地点Aのグラフ上での座標は(地球の半径+地点Aのジオイド高+地点Aの標高)にsin(θ)をかけた値がx、cos(θ)をかけた値がyになります。ただこれだとyの値が大きすぎて読みずらいので、アプリではyから地球の半径を引いた値で作図しています。その場合y軸と基点の下の楕円体との交点がx軸との交点になります。

 下図のように地球中心角による作図ではジオイド高を含めて作図するのが原理的には正しいですが、かなり長い数100km等の距離について作図するのでなければ作図範囲内でジオイド高が大きく異なることはないので、ジオイド高を省略して作図しても大差ないことが多いと思います。

 なお、本アプリでは簡略化のため地球を楕円体ではなく真球とみなして計算しているため、実際とは若干の違いがあります。また、厳密にいうと標高はジオイド面に対しての垂直線上での高さなので下図のように地球中心から地点Aまでが直線ではない(ジオイド面で少し折れる)ですが、そこも省略しています。

 大気屈折含設定は地球中心角による作図に大気による光の屈折により遠方のものが浮き上がって見える現象を含めて、基点からの見かけの位置を作図するものです。大気は地表で高く、高度が上がるほど低くなる密度の勾配がありますが、光はそのような場所を進むと密度が高い地表側にまがって進む性質があります。

 下図の地点Aは手前のこぶへの視線より下にあるため光が直進すると基点から見ることは出来ません。しかし光が曲がると図のように基点から見ることが出来るようになります。その場合、基点からは地点Aが点線の位置にあるように見えます。ただし、光の屈折の程度は気圧、気温や、その他湿度等によって変わるため、実際の見え方は浮き上がりの程度が様々に変わり、常にアプリで作図されるように見えるものではありません。

 本アプリでの作図では光の屈折により遠方のものを浮き上がらせるのではなく、基点と各点の間の距離は変えずに地球を大きくしたと仮定して地表の丸みを減らし平らに近づけることでその状態を再現しています。光が曲がる分だけ地球の丸みを減らして相殺するイメージです。

 仮定で大きくした地球の半径を等価地球半径といい、実際の地球の半径との比を等価地球半径係数といいます。等価地球半径係数は電波の場合は4/3とするのが一般的ですが、可視光線の場合は電波より曲がりにくいので、本アプリでは3.5/3として計算しています。ただ、将来変更するかもしれません。

 本アプリでは屈折を考慮しない場合の以下の式を

 x=(地球半径+楕円体高)×sin(θ)、y=(地球半径+楕円体高)×cos(θ)ー地球半径

 等価地球半径(K)として以下の式で空気屈折込の作図を行っています。

 x=(地球半径×K+楕円体高)×sin(θ/K)、y=(地球半径×K+楕円体高)×cos(θ/K)ー地球半径×K

 本アプリが計算で使用する等価地球半径係数の値は、標高断面図画面のメニューをクリックしたところにある標高断面設定で変更できます。

 数値では1~1.33333(=4/3)の範囲で指定できます。また、基点の気温と標高、見通し先の標高から算出することもできます。なお、アプリ内部での計算は以下の通りですが、これで正しいのかよく分からないので、後日変更するかもしれません。

static double EerK(double t,double h){ //気温t(℃)標高h(m)での係数を求める関数

double T = t + 273.15; //tの絶対温度

final double dt = -0.00649; //1m上昇する際の気温低下(固定値)

final double press0 = 1013.25; //標高0mの気圧(固定値)

double pressh = press0×Math.pow((1+dt×h/(T-dt×h)),5.257); //標高hmでの気圧

double x = 503×pressh/Math.pow(T,2)×(0.0343+dt); //係数計算の途中の値

return 1/(1-x); //気温t、標高hでの係数

}

static double EerK(double t1,double h1,double h2){地点1(気温t1、標高h1)と地点2(標高h2)間の係数

final double dt = -0.00649; //1m上昇する際の気温低下(固定値)

double k1 = EerK(t1,h1); //地点1での係数

double t2 = t1 + dt×(h2-h1); //地点2の気温推定値

double k2 = EerK(t2,h2); //地点2での係数

return (k1+k2)/2;  2地点の係数の平均を2点間の係数とする

}

メニューでは他に、地点の詳細情報、地点を探す、マーカーの設置・削除、作図データのエクスポートができます。地点を探すの仰角最大地点は屈折を考慮しない地球中心角での作図で基点からの仰角が最大となる地点、推定最遠可視地点は大気屈折込の図で仰角が最大となる地点です。この推定最遠可視地点は等価地球半径係数の値により変わることがあります。

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